イタリアワインの産地|南・北・中部別の特徴と一覧をチェック

世界で最もワインの生産量と消費量が多い国、イタリア。

日照量が多く温暖な亜熱帯地中海気候はワインづくりにピッタリで、20州すべてでワイン生産が行われています。

長靴のような形をしたイタリア半島は、南北に長細く伸びています。

日本のように南北での環境が大きく異なるため、育てられるブドウ品種もとっても個性豊か。

特色豊かなイタリアワインの特徴とはどんなものなのか。北部・中部・南部の3つに分けて見ていきたいと思います。

イタリア北部の特徴


アルプス山脈を境にしているため冷涼な気候をした地域です。

厳しい大自然を眼前にしているせいか、洗練された繊細な白ワインが多く生産されています。

良質なワインを生産している北部のなかでも特に外せないのが「ワインの王」といわれるバローロを輩出するピエモンテ州。

また、「バローロの弟分」といわれているバルバレスを生産しているヴェネト州も北部にあります。

ピエモンテ州

アルプス山脈の南側にある、イタリア北部で最も重要な生産地です。

白ワインよりも赤ワインの生産量のほうが多く、6割近くを占めています。

ネッビオーロ種から作る「バローロ」や「バルバレスコ」などの高級赤ワインの産地として知られています。

また北部らしい特徴を持つワインとして、モスカート・ビアンコ種を100%使用したスパークリングワインの「アスティ・スプマンテ」や辛口白ワインの「ガヴィ」が挙げられます。

ヴァッレ・ダオスタ州

イタリアの北西部に位置し、アルプス山脈内にある州。

ブドウ栽培は山の斜面を利用した厳しい環境下で行われています。

イタリア内で最も小さな州では、生産されるブドウもわずか。

そのため生産されるワインも少なく、ほとんどが州内で消費されています。

しかし高品質なワインをつくっていることでも知られており、近年では白ワイン「レ・クレーテ」などが高い評価を得ています。

リグーリア州

イタリア最大の港町ジェノヴァが州都で、リゾート地として人気の州。

急な斜面でつくられるブドウ畑は収量が少なく、ワイン生産も少量。

そのため良質でカジュアルなワインを生産していますが、観光客や地元の人々で消費されてしまいます。

厳しい崖の上でつくられる白ワイン「チンクェ・テッレ」が最も有名なワインですが、赤・白ともに魚介料理や海風に合う辛口タイプのワインが特徴です。

ロンバルディア州

世界的に有名なミラノが州都なため、イタリア内で最も経済豊かな州。

しかし州内には3つの湖があり、北はアルプス山脈、南にはポー平野と、都会的なイメージとは違い意外なほど自然に溢れている州です。

地の利を生かし、バリエーション豊かなワインを生産しています。

代表するワインは「フランチャコルタ」で、イタリア産スプマンテのなかで最も高い人気を誇る高級ワイン。

また、辛口赤ワインの「ヴァルテッリーナ」も人気があります。

エミリア・ロマーニャ州

世界最古の大学があるボローニャが州都で、良質なチーズや生ハムを生みだしている“美食の都”としても知られています。

ポー川が流れる肥沃な平野部が広がる州内では全域で食材と相性のいいブドウが育てられています。

幅広いタイプのワインがつくられていますが、特に微発泡性の赤ワイン「ランブルスコ」などが有名です。

ヴェネット州

イタリア北東部に位置し、州都は“水の都”ヴェネツィアです。

20州トップのワイン生産量を誇るこの州では、毎年春に行われる世界最大規模のワイン見本市も有名。

コルヴィーナ種を筆頭に多くの土着品種を持つ州で、赤白ともに素晴らしいワインを生産しています。

なかでもスパークリングワインの「プロセッコ」と高級赤ワインの「アマローネ」が代表格といえるでしょう。

トレンティーノ・アルトアディジェ州

ドイツ語とイタリア語が公用語になっているイタリア最北の州。

そのためワインボトルにもドイツ語とイタリア語が併記されています。

生産量は白ワインが6割を占めていますが、赤やロゼなども良質で、他にはないワインだと高い評価を得ています。

多様性のあるワインづくりが目立つ州ですが、特に有名なのはフェラーリ社や生産者共同組合ロータリがつくるスパークリングワインです。

フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州

オーストリアとスロヴェニアに接したイタリア北東部にあるため、複数の言語が行き交っている州。

最近はオレンジワインの産地として注目されていますが、白ワインの生産が最も盛んです。

繊細で上品な味わいは「白ワインの聖地」とも評されています。

伝統あるフリウラーノ種をはじめとした土着品種のほか、国産品種のブドウ栽培も行われています。赤白ともに高品質ですが、最も有名なのは白ワイン「カポ・マルティーノ」でしょう。

イタリア中部


ローマやフィレンツェなど独自の文化を発展させ、古さと新しさを共存させてきた地域です。

積極的に外来種の採用を行うなどして新しいイタリアワインを生みだしてきたトスカーナ州も、ここ中部。

世界中に愛されている赤ワイン「キャンティ」や白ワイン「エスト!・エスト!!・エスト!!!」など、北部と並んで多くの有名ワインを産出しています。

トスカーナ州

“花の都”フィレンツエを州都に持つ、観光地として有名な州。

ピエモンテ州と並び、イタリア国外でも高品質なワインをつくる名地として知られています。

特にサンジョベーゼ種からつくられる「キャンティ・クラシッコ」など、トスカーナワインと呼ばれる赤ワインの産地として人気。

近年では「スーパータスカン(トスカーナ)」が注目を浴びています。

ウンブリア州

内陸にある州で、どこまで広がるブドウ畑とオリーブ畑の美しい景観が望めます。州都はペルージャで、オリーブオイルやサラミが州の名産。

赤・白ワインともに同じくらいの量が生産されており、代表的な土着品種はサグランティーノやグレケット種です。

白ワインは飲み口のいい「オルヴィエート」、赤ワインはしっかりした味わいの「モンタファルコ・サグランティーノ」が有名です。

マルケ州

イタリアのほぼ中央にある州で、東側はアドリア海、西側は山脈に面しています。海の幸も山の幸も豊富で、トリュフをはじめとした食材に恵まれ、食文化が発展しています。

ヴォルデッキオ種からつくられる白ワインが有名ですが、ロゼ含む赤ワインが55%、白ワインが45%と生産の割合はほぼ半々。

代表的なワインは長くて覚えづらい白ワイン、「ヴェルディッキオ・ディ・カステッロ・ディ・イエージ」です。

ラツィオ州

約3000年の歴史を持つ、イタリアの首都ローマが州都です。

有力な王侯貴族に愛されてきた歴史を持つワインもつくられていますが、現在ではカジュアルなワインのほうが多く生産されています。

白ワインの生産地として有名で、生産量の70%以上が白ワインです。

幅広いタイプの白ワインが生産されていますが、DOCワインの「エスト!・エスト!!・エスト!!!」と「フラスカーティ」が有名です。

アブルッツォ州

アドリア海側にある農業が盛んな州。コストパフォーマンスのいいカジュアルなワインが多く生産されていると話題です。

ワイン生産量は赤が約60%、白が約40%です。

土着のブドウ品種モンテプルチャーノを使った赤ワイン「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ」が最も有名ですが、白ワインの「ペコリーノ」や「パッセリーナ」も人気です。

モリーゼ州

20州あるなかで2番目に小さな州。白トリュフやエキストラヴァージンオリーブオイルが有名な特産品です。

近年に入ってからワイン生産に力を入れはじめたので、まだまだ生産量は少なめ。しかし現在は土着のブドウ品種、ティンティリアのみでつくられる赤ワイン「ティンテリア・デル・モリーゼ」がDOCに認定されています。

また、お手頃価格で高品質と話題の赤ワイン「モリ・ロッソ」も人気。

イタリア南部


イタリア半島の下側にある陽気な雰囲気が特徴の州。

イタリア国内でも大きな島のシチリアとサルディーニャを含み、多くの土着ブドウ品種が栽培されている地域です。

ワインにおいて北部や中部に比べると印象が薄いイメージですが、近年は生産量が増え、良質なワインをつくっています。

個性的な高級ワインから日常的なものまで幅広い赤ワインを楽しめるのが南イタリアの魅力です。

カンパーニア州

美しい街ナポリが州都で、「青の洞窟」で有名なカプリ島など、観光客で賑わうスポットを多く抱えている州です。

その明るいイメージとは別に、温暖な気候と豊饒な土地ゆえに何度も争いに巻き込まれた背景があり、独特な文化を築いてきました。

ワインづくりは古代ローマ時代より盛んで、アリアニコ種からつくられる赤ワイン「アリアーニコ」などが有名。

なかでも「タウラージ」はイタリア3大ワインのひとつに数えられています。

プーリア州

州都はアドリア海に面したバーリ。

「ヨーロッパの酒蔵」といわれるほどワイン生産が盛んで、シチリアに次いで有機栽培ワインがつくられています。

個性的な土着品種を多く栽培している州ですが、特にプリミティーヴォやネグロ・アマーロなど、黒ブドウの栽培に力を入れています。

カジュアルな赤ワインとして人気の「プリミティーヴォ」が代表ワインで、急激に売り上げを伸ばしています。

バジリカータ州

州都は内陸のポテンツァ。ワインづくりの長い歴史を持つ州では、南イタリアを代表するような力強い味わいの赤ワインが特徴です。

標高の高い地域で栽培されるほとんどのブドウ畑では、イタリア最古といわれる土着品種アリアニコが栽培されています。

ワイン生産量は少いですが、州を代表する「アリアニコ・デル・ヴルトゥレ」は、DOCGも獲得している高品質な赤ワインで“南のバローロ”と呼ばれています。

カラブリア州

長靴のような形をしたイタリア半島の、つま先から甲部分に該当する州。

オリーブやオレンジが特産で、ペペロンチーノ(唐辛子)をたくさん使った辛い郷土料理が名物です。

古代からの土着品種ガリオッポを使ったフルーティーな赤ワイン「チロ」は、辛い料理との相性が抜群で、知名度も高いです。

シチリア州(島)

太陽に愛されているシチリア島はイタリア最大の州。

エトナ火山をシンボルに、ワインのイタリア3大産地としても有名です。

土着品種から国際品種まで多くの栽培品種を育てており、ワイン生産量の8割が格付けワインと高品質。

また近年は有機栽培に特化したワイナリーが多いことでも注目されています。

酒精強化ワインの「マルサラ」と赤ワインの「コルヴォ」が知名度の高さで代表格だといえるでしょう。

サルデーニャ州(島)

美しい海に囲まれた島で、欧州の高級リゾート地としても人気の州。

カラスミやワインコルクの産地としても知られています。

ブドウ栽培は島内全域で行われているほど盛んで、150種類以上の土着品種があるといわれています。

なかでも代表的な品種は、この州を代表するワインの名前にもなっている黒ブドウのカンノナウ種と、白ブドウのヴェルメンティーノ種です。